今週の指標 No.1023 ユーロ圏における若年労働者の動向
ポイント
2012年2月20日
ユーロ圏の失業率をみると、2008年の世界金融危機の発生以降から上昇しており、11年は10%台の失業率となるなど、厳しい雇用情勢が続いている。しかし、若年労働者(15~24歳の労働者)をみると、11年の失業率は20%台の高水準に達しており、さらに厳しい状況下に置かれていることが伺える。世界金融危機の発生以降における失業率の上昇幅をみても、若年労働者では4.8%ポイントの上昇(08年16.0%→11年20.8%)と、ユーロ圏全体の上昇幅(2.5%ポイント:08年7.6%→11年10.1%)よりも大きくなっている。以下では、ユーロ圏における若年労働者の動向について概観する。
まず、ユーロ圏における失業率を年齢階級別にみると、25歳以上の労働者における失業率と比較して、若年失業率は2.3倍の高い水準になっている(図1)。国別にみると、スペインやギリシャでは、若年失業率が40%以上と非常に高い水準となっている一方で、ドイツやオランダ等では10%以下となっており、国ごとにバラツキがみられる(図2)。また、イタリア、ルクセンブルク、キプロス等における若年失業率は、25歳以上の労働者における失業率と比べて3倍以上に達しており、年齢グループ間でバラツキが大きくなっている。
ユーロ圏における若年労働者の就業者数をみると、前年比でマイナスが続いているものの、このところマイナス幅は縮小している。勤務形態別にみると、フルタイムでは前年比でマイナスが続いているものの、パートタイムは11年からプラスに転じていることから、パートタイムで働く若年労働者が就業者数のマイナス幅の改善に寄与している(図3)。ただし、非自発的にパートタイム形態で働いている若年労働者の割合が増加(06年:22.7%→10年:27.4%)していることには、留意が必要である。
次に、労働力人口に占める若年の長期失業者(ここでは1年以上の失業者)の割合をみると、25歳以上の長期失業者と同じようなトレンドで上昇しているが、25歳以上の長期失業者より高い水準で推移している(図4)。若年労働者が失業状態となり十分な技能を形成することが出来なかった場合、その後に再就職する機会を得ることが困難となっている可能性が考えられる。
一方で、労働の需要側である企業が直面する課題に関するアンケート結果をみると、スキルがあるスタッフや経験豊富な管理者といった熟練技能者等の利用は悪化している(図5)。このことから、2009年半ば以降、ユーロ圏全体の失業率が高い労働市場環境となっているにも関わらず、企業が必要とする労働力を獲得することができない雇用のミスマッチが生じている可能性がある(図6)。就業経験や知識・技能の蓄積が不十分である若年労働者が、特にその影響を受けやすいと考えられる。
以上のような若年失業者の現状を踏まえ、ユーロ参加国では若年労働者に関する取組が進められており、1月30日のEU首脳会議でも、金融安定の確保に必要な妥協なき財政再建を図りつつ成長促進と雇用創出を実現するために、特に若者向けの雇用創出が盛り込まれているところである。十分な技能を形成することが出来ない若年失業者が増加することは、ユーロ経済の中長期的な経済成長に対する下方リスクとなる可能性があるため、引き続き若年失業者の動向には留意する必要があると考えられる。
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